2020年夏。今年は、比較的涼しかった2019年の夏なんか思い出せないくらい暑くなり2018年の猛暑を超えて県内の浜松で41.1度の国内最高気温タイ記録が出てしまったぐらい暑い夏となった。
そして、全国のエアコン達もフル稼働となり猛暑中には、ネットで「室外機冷却」とか「室外機 冷やす方法」とか「室外機 水をかける」とかいうキーワードでひたすら「冷風」を求める人が増えたようだ。※当サイト調べ
だが、今年はWEBマスターのお家の主に両親が過ごす居間のエアコンの冷風は冷たかった。外気が35度でも居間のエアコンはつめたーい冷気を吹き出し続け設定温度を21度とか18度に設定するような事はなく24度以下にすると寒くなるくらいだった。
それは、2018年の記事である【緊急猛暑対策】エアコン室外機を冷却せよ【DIY】で作成した室外機に水を噴霧して水の気化熱を利用して室外機を冷やすシステムが絶賛稼働中となり室外機の熱交換効率が高まり強力な冷風を室内機から吹き出し続けたからだった。
インバーターエアコンなので吹き出し温度は調整されるが、室温27度で放射温度計で吹き出し口温度を測って約9.8度という温度になっているのを確認できた。
ただ、同じ室外機フィンの場所に水噴霧をし続けると、水道水なので水道のカルキ(塩素)やカルシウム成分の影響があるので数年に1回噴霧位置を変えていくと良いと思う。
また、室外機停止中や弱運転中などは噴霧を止めた方が上記の理由や水道料金の面で良いので、今回の記事では、「自動噴霧制御装置」を作成して設置します。
現状は水道の蛇口にホースをつないでエアコンの室外機の裏側でミストを噴射しています。
まさしくコレ(エアコンの室外機に水を噴射している)です。
この水のミストを自動で止めたり出したりしたいわけです。
ここでいう自動とは、エアコンの室外機が稼働したら、噴射する。エアコンの室外機が止めれば、止水する。という意味です。
この水を出したり止めたりする制御って以外と簡単そうに思いますが、大まかに自動水栓(電磁バルブやソレノイドバルブ)からなる部分とその自動水栓の電流を室外機と連動させ制御する電子回路からなる装置部分が必要になります。つまりは、手動のバルブの代わりに電気で動く電磁弁(ソレノイドバルブ)を設置して、この電磁弁を電気を使ってON又はOFFすることにより、水を止めたり出したりします。
今回製作する自動噴霧制御装置は、Aの室外機の動作状況を検知する部分、Bの装置から電磁弁の部分、Aからの信号を処理してBの電気を流したり止めたり制御する、制御装置本体部分を作っていきます。
電磁弁です。
中にゴムの弁が入っています。何もしてない状態では、常に「閉」になっていて電流を流すと、コイルが中の弁を動かして「開」になります。
電磁弁の両端はG1/2の管用平行ネジです。
両側に付いているHIソケットがカクダイのHIパイプ20(G3/4)だったので一旦、13×20のブッシングをかませています。
給水栓用ソケットのRp1/2とG1/2は規格が厳密に言えば違うのでくっつけると水漏れしますので工夫が必要です。今回は配管の途中に横向きで設置したかったのでこのような仕様に。
夏が終われば外すので外しやすい方法にしました。
ちなみに、コレ間違えてAC220v仕様の電磁弁ですがAC100Vでも使えました。
流せる水量はすごい減りますが、ミスト1本の使用水量は少ないので大丈夫でした。
写真の状態でもう配管を切ったらそのまま両端にパイプを接着剤でくっつければ設置できるようになっています。
あとは、配線のみで電磁弁はこれでOK。
ついに来ました。ここからはみんな大好き電子工作の時間です(^o^)
さて、水噴射を室外機の動作状況に合わせてエアコンの電気回路に手を加えずに連動させるには、どうすればいいのか。
やり方はいろいろありますが、今回は、「変流器」を使った電流検知回路を使ってリレーをONOFFさせる装置を作ります。
それが、冒頭の写真のコレです。
実験中の様子。
この変流器のコイルを室内機と室外機の渡り線の電源ラインにかませば室外機が作動したときの電流を検知することができます。渡り線の1本を中に通すだけなので、エアコンの電気回路には手を食わないのがミソです。
検知電流は、1A程度から検知できますのでAC100Vの場合は約100W程度も流れていれば十分検知できますしエアコンは最小パワーの際には水噴射は不要なので性能的には問題なく使えることがわかりました。
今回は解説のみなので、制作編は別記事で。
ケースを外からみて作動状況がわかるように
電源ON中が緑LEDが点灯、水噴射中が赤がLED点灯。
となるようにLED回路も制作。
組み立て中の様子。
ドライヤー(ヒートガン)をONで連動ONする。(赤LED点灯)
エアコン室外機 水ミスト噴射制御装置ができました。
エアコン室外機がONになり、室外機コンプレッサーが作動すると、赤LEDが点灯し、水噴射がONになります。電流の閾値は調整できるので、室外機がフル稼働状態時のみ水噴射をする。などお好みで調整次第で出来ます。
コイルからの配線を保護管を通すとかケーブルにコネクタを付けるとか細かい仕事が一応されてます(^^;)
電磁弁をこの配管を切って
↓
設置しました。
ストレーナーの点検
あとから取り付けたので記事には載せていませんでしたが、ミスト穴がつまらないように目が細かいスクリーンフィルターを入れてあります。
水道水だからキレイです。
三菱電機の霧ヶ峰ですがここの配線は、コンセントからのAC100Vがそのまま来てますので電源ラインにコイルを設置。
室外機の裏の部屋の窓際に設置。
本体上部に小さいスイッチが付いてますのコンセントを差し込んでスイッチONで水噴射制御ONになります。エアコンの室外機が作動していれば、室外機の動作と連動して赤LEDが点灯して電磁弁が開になり室外機に水ミストが噴射されます。
これで、エアコン室外機冷却システムが全自動になりました(^^
外気温33℃で室内気温30℃でもエアコン吹き出し温度が13,9℃程度の冷風になることを確認しました。
■噴射制御装置製作編 続く
今回も電子工作ネタである。みなさんは、かなりの離れた場所にあるエアコンの電源を入れようと思ったらどうしますか?
例えば、帰宅中にエアコンを作動させておこうとか、来客があるので出先から先にエアコンをONしておこうとかペットがいるけど、なかなか帰宅できないからエアコンだけでも先に電源を入れてあげようとかですね。
誰かが部屋にいれば電話して頼むとかLINEで頼むとかありますけど、お家とか事務所が無人だったらどうしますか?
そうですね。すでに、ネット対応の家電を使っていらっしゃれば、スマホのアプリをいじればOKですね。
でも、ネット対応の家電ばかりではないですし、エアコンは変な法律もあるので対応は遅れている方です。
そこで今回は、WEBマスター場合は、サーバールーム兼、倉庫、事務所に動いてるPC(パソコン)を使ってUSB接続の学習型赤外線リモコンを制作してこれを使って些細な願いをかなえて行こうと思います。
実は、この手のリモコンの応用の先には、おーけーぐーぐるーエアコン点けて~ができるようになるという事があります。
とりあえずは、エアコンを遠隔操作をできるようにするという一歩を踏み出してみます。
ということで、いろいろ調べたところ、安くて簡単で早くてイイよ!というキットがあったのでコレを組み立てて使っていきたいと思います。
USB接続赤外線リモコンを作っていきましょう。
組み立て済みもありますが、さらに安いキットを使って組み立てていきます。
まず、このUSB接続リモコンキットは、パソコンにUSB接続して使います。
出来ることは、
今回は、1が使いたい機能なのですが、少々、解説しますと、2は、パソコンをTVやミュージックボックス代わりにしている場合など、音量調整や次の局や曲にとばしたりと家電リモコンを使ってパソコンを操作できます。キー好きな物を割り当てができます。
3は、実は、シャープのブルーレイレコーダなどのHDDを交換する際に必要な裏設定モードを呼び出せます。
いやーどれも魅力的な機能ですね(^^;)我が家もシャープのレコーダがあるので内蔵HDDを交換する際には必要になるでしょう(^^
ただし、母艦としてパソコンが必要なので部屋でパソコンをずーっと付けていない場合は、別の母艦(ラズペリーパイなどの教育用小型PC)が必要になりますがそれまた今度で(^^
さて、キットが届いたので組み立てていきましょう。
基板は保護塗装済みなのでパターンが露出してませんね。
説明書もフルカラーでちゃんとした日本語です(爆
半田こては、精密用こてを使っていきましょう。ピッチ(間隔)がせまい場所はさきっちょが細い方が断然楽です。
頻度は少ないですけどマイコンなどの足の間隔が狭い部品を半田付けするのには必須でしょう。
まずは、背が低い部品や取り付けると背が低い部品から取り付けていきます。
抵抗はまだ序盤なので準備体操ですね。
次は、いきなりの大物!マイコンICチップ。コレにこの基板の機能がほとんどすべて詰まっています。この大きさでUSBに接続できちゃうのもこのチップのおかげですね。
WEBマスターは素手じゃ触りませんよ(^^使い尽くしてる静電防止手袋をハメます。
基板にハメるときには、ハの字の形に足が開いているので平らのとこに押しつけてコの字にしてあげると良いです。
ハメて裏返すと、基板が厚いので足がほんとにチョッロっと出てます。
精密半田コテでサクッと半田つけします。
次は、USBコネクタ。
ここは、コツがあるので教えておきましょう!
部品は、ひっくり返すときにはマスキングテープなどで固定しておく。
足がパターン面に出る量が少ないのでしっかりテープで押さえつけておく。
配線部分は、ピッチが狭いので焦らず慎重に。ココでダマになって隣とくっついてしまう場合は、コテ先が太すぎるかダメダメコテなので細いものを素直に用意する。こねくり回していると基板面を痛めてパターンが剥離してきます。
できたか、ルーペで検査します。こんな風にしてカメラのレンズに付けると接写できます(^^
ルーペ接写撮影です。足のでっぱり量が少ないのでへこんでたりしますがしっかり半田付けはできているようです。
コンデンサの半田つけ
コンデンサの半田つけその2
グラグラしてやりにくい場合は、テープで固定します。
どんどん部品を取り付けていきます。トランジスタも完了。
受光素子です。学習型なので使いたいリモコンの赤外線をここに向けて照射して学習させます。
足の半田付け確認。
赤外線LEDに繋がる抵抗値が以前の回路より小さくなったようなので旧式よりは、赤外線が強いかもしれません。
部品を載せ終わりました。
部品点数も多くないので落ち着いてやれば失敗もしないでしょう。
このキット実は、フリスクリモコンって呼ばれることもあるみたいです。
うわ、ホントや(^^ ぴったり。
なんか、基板の切れ込みどうみても狙って設計してるでしょ的な位置。
じゃあ、USB用の穴開けや赤外線LED用の穴を開けていきしょう。
現物合わせでケガキ線をかきます。この辺かなぁ(^^
材質がやわらかいのでハンドピンバイスで行きましょうか。
グリグリっと。
軽く開口しますね。角穴が希望なのであとは、平ヤスリで削ります。
ダイソー ダイヤモンドやすり
こんな感じかな(^^
反対側のLED側も同じように穴をあけていきます。
基板を固定していきます。
UVレジンで基板を接着していきます。太陽や紫外線LEDの紫外線で硬化する樹脂接着剤です。
基板のはじっこ数点にUVレジンを垂らして
紫外線LEDを照射します。
紫外線LEDは、日亜化学の紫外線LEDを使ったタイプを強くおすすめします。
少々お値段が高いんですが、安いLEDを使ったタイプは、紫外線の波長が甘くレジンがべたつきます。日亜化学の紫外線LEDは波長がもっと短い(375nm)のでレジンがべたつきなく固まります。
数分間、紫外線LEDを照射していると固まってきます。
固まれば、ひっくり返してカツカツ当てても外れないです。
LEDの穴もあきっぱなしじゃホコリが入るので透明アクリル板を切ってはめ込みます。
UVレジンをちょっと盛って固めてやればバッチリ。
うまく加工出来ました。
でUSB端子が角ばってる方のミニBタイプです。
■動作テストします。
事務所のFAXサーバー&プリントサーバー用のPCなんですけど、ふるーいのでXPです(^^;)
ブラウザも使わないのでリモートデスクトップだけ使う端末化しております。
これに、USB接続リモコンのソフトウェアをインストール!
まだ、XP対応してて良かった(^^
でこれが、USB赤外線リモコンキット 送信設定アプリです。
RECボタンを押してすぐ、家電リモコンを操作すればそのボタンの機能をコピーできます。
とりあえず、エアコンのONとOFFを記憶させてテストします。
ピッ!!とエアコンから音がして運転ランプが点灯しました。
成功です(^^
遠隔操作は、リモートデスクトップにログインして、そこから操作します(^^;)
スマホでもPC操作できる遠隔操作アプリがありますので簡単に操作できます。
USB接続赤外線リモコンの
現代人に欠かせないエレクトロニクスな生活を営む上でかかせないスイッチング電源です。今回は、小電力なスイッチング電源で50W程度のACアダプタなどにも使われるタイプの回路を搭載する中華なACDCスイッチング電源を修理しました。シンプルではありますがそれなりにまっとうな直流DCが出てくるカワイイ電源です。WEBマスターのお家では、主に人感センサー式の補助照明用のLEDテープライトの12V電源として使っていました。ものすごく安く入手出来て便利だったのですが、イマイチ調子が良くない。ついには、LEDテープが点灯しなくなることが多くなったので【要修理】となりました。買い換えるのはカンタンなんですが、この機会にスイッチング電源の仕組みのおさらいと修理のポイントを確認にしときましょうということで今回はスイッチング電源の修理をご紹介します。
AC100-DC12-2A のACDCスイッチング電源です。
※内部回路は当記事の内容とは変更される可能性があります。
送料込みの500円程度で買えてしまう中華電源です。
内部の基板は、400V耐圧33μF 16V耐圧1000μF×2 600V8Aパワートランジスタ 大電流ダイオード コイル トランス TL431 フォトカプラ 抵抗などで最小部品で構成。
回路は、RCC式フライバックコンバーターで要は、発振が自励式で発振周波数が負荷により変化します。
出力電圧の情報が常にフィードバックされてトランジスタを発振させています。
電源ON時に、正常な電圧が出ない。が、ONOFFを繰り返し行うと、正常動作するタイミングがあり、その時の電圧は正常だが、電圧が不安定になったりする。
まずは、部品の外観チェックや半田付けの状態確認をします。
今回はケーブルがないですが、ACアダプターなどでは、単に根元の配線が切れていただけということもあります。今回のような基板の場合は、ヒューズが飛んでいないか、半田にクラック(ヒビ割れ)がないか、部品がこげたような状態になっていないかなどを目で確認します。
すると、ヒューズは正常でしたが、
なんと!トランジスターの足下に半田付けのクラックを発見。ただし、基板もトランジスタも通常の状態でケースにネジ留めされているのでグラグラするような状態ではないので接触状況によっては正常に動作していた。これを半田付けをやりなおしても、症状は再発した。
まぁ、分解過程でクラックが入ってしまったということも考えられなくはないしね。ということで次へ。
電子回路の修理なので故障を箇所を発見して部品を交換したりして修理する事になりますが、外観には異常がない場合もあるのでこの部品だー!と判別するのはなかな困難です。
とは言ったものの壊れやすい部品というものはあるのでその辺りに当たりを付けてみて試しに交換してみます。WEBマスターも過去には、パソコン用電源の電解コンデンサーやマザーボードの電解コンデンサが膨らんだり、中の電解液が滲みでて乾燥した状態のモノを何度か交換した結果、無事に復活したという事がありました。
※モリモリっと発射しそうに膨らんだ電解コンデンサ(パソコンのグラフィックボード)
写真のコンデンサのように見ただけでわかると簡単なんのですが、やっかいな事にただただ内部の電解液が蒸発減少してしまう場合もあるので外観は異常がなくてもESR(交流から見た抵抗値)が大幅に上がってしまっている場合もあります。
このような場合には、回路の定数が変化してしまうので動作不良の原因になります。ですから、本数が少ない今回のような修理は、手っ取り早く交換してしまうのも一手ですね。
ということで、
なぜ2次側からといえば在庫があったから。日本ケミコンのKMG 16V1000μF 2本
改善なし
まだまだ、、
1次側は、400V33μF 耐圧が大きいので在庫がなかったので取り寄せました。
こちらは、85℃タイプですが、定格の半分程度しか使わないので問題なしですが、大きさが違うのが問題ですが、無事解決。
ニチコンの400V 33μF 85℃
このスイッチング電源は、220Vの入力も想定して設計しているので日本で使うなら耐圧はもう少し低くても大丈夫です。
改善なし。
んー原因は電解コンデンサではなかったようです。
電解コンデンサは確認しましたが、まだまだ、パワートランジスタやダイオードや抵抗が使われているのでテスターで確認できる範囲でチェックします。基板に乗ったままだと他の部品の影響を受けるので考慮しながらチェックしました。パワトラは大きい部品なので外して確認しました。
トランジスターは、2個ありますがデカイのが写真の赤丸のパワートランジスターで13007B NPN 700V 8Aという現代のパワトラです。
NPNトランジスターなので、テスターを導通モードにしてB-C間 B-E間が通ればOK C-E間は不通でOKです。
ダイオードは、ダイオードモードでA-Kの方向にのみ約0.6Vで電流が流れればOK。
今回は、どちらも正常。
■結果は主要部品異常なし
なかなか、手こずらせてくれるじゃないか(゜Д゜)
スイッチング電源回路では交流を直流に変換し高周波トランスとトランジスタを使ってスイッチング動作を高速で行っていてこれをスイッチング周波数といいこの回路では、ICを使わずに自己発振を行っています。この動作を目で見るようにするためには、テスターでは不可能なので『オシロスコープ』が必要です。
アマゾンで売ってる1番お値打ちなオシロスコープを買いました。なんと、3000円代(゜Д゜)
あとは、電圧の倍率変換ができるプローブは必須です。両方でも5000円未満(゜Д゜)です。
観測できる周波数が、200KHzなのですがこれは、ノイズまで観測するには少々足りませんが、今回の回路のスイッチング周波数を確認するにはギリギリOKでした。
まずは、整流ダイオードに入る直前の観測波形です。
ここは、AC電源の波形がそのまま出て来ます。プローブは1/10です。
ピークが約141V 実効値100V
この部分に触るとビリっとくるってことです。
■整流ダイオードを観測
次は、整流ダイオードを通して観測します。
1個なので半波整流の波形が現れました。反対側はどうなってるでしょうか
逆向きの波形が現れました。そうなんです。ダイオードでの整流というのは、交流の正負どちらかの時だけ電流が流れます。
つまりダイオードは正常ということが観測できました。
次は、電解コンデンサーを通して確認。
上の半波整流を2個足すと全波整流になり、電解コンデンサを通過すると、交流の正弦波は、直流らしい波形になりました。ただし、電圧は、約140V近いです。交流波形のピーク電圧に近い電圧になっています。
ちなみに、電解コンデンサの両方の足下の電圧波形は、
三角波になっています。
次は、パワートランジスタを観測します。
コレクタ電圧を確認しても、おっと、ここで確認できるハズのスイッチング波形が現れません。
20msに1回程度、ピクピクしている波形は交流電源に由来している波形のようです。
つまり、自己発振せずスイッチング電源なのにスイッチングしないので2次側に正常なDC12V電圧が出力されないようです。ただし、パワートランジスタの測定では、高い確率で正常でした。
時々、正常になる時があるので各素子の破損はやはり考え難いです。
とりあえず、トランジスタ周りを計測しているときです。パワートランジスタのベースにプローブで触った時につなげたいたLEDテープが光りました。この時、動作が正常になったのです。
こ、コイツ!動くぞ!
正常時のスイッチング波形は、数Wの負荷で約17kHzでした。
ということで、起動時に、パワートランジスタのベース電流が足りないという可能性が出て来ました。
基板上の回路と各素子を回路図に書いて確認して、ネットで出回っている基本的なRCC式フライバックコンバーター比較した結果、起動抵抗が省略されている回路になっていることに気がつきました。
確かにこのスイッチング電源、あれおかしいな点灯しないなってことでスイッチをパチパチやってことが最初の頃よりあったような気がしてきました。回路の各定数も温度や経年劣化により設計時により変化しますので確実な動作をさせるためには、それらを考慮して設計する必要があると思いますが、この回路は、後に説明するメカニズム編で言うトランスの2次側電流による3次巻線の帰還電流のみ頼っている設計だったので、起動時にベース電流が元々少ないので温度変化や各定数の劣化によっては、起動しなくなる症状に至ったんではないかと考えました。つまりは、回路設計から来る構造的な問題で何かが壊れたわけではないってことです。スイッチング電源の自励式ですから、そもそも発振しなければ動きません。
実験的に、基本的な回路を元にして起動用の抵抗を後付けして回路の動作状況や発熱を確認します。
問題がなければ、採用します。
入れる抵抗は、420KΩにしました。
グランドー整流後最大値が約130Vなのでそこから直接420KΩパワートランジスタのベースにつないでおよそ約0.3mAを流してみることにしました。パワートランジスタのベースに与える電流としては、とても小さな電流なので始動時以外の影響は低いでしょう。元の帰還電流+起動電流でというこです。
結果は、GOOD。
スイッチのONとOFFを何回繰り返しても一発で起動するようになりました。
少しはやるようになったな!
2次側に、DC12V確認。LEDテープも問題なく点灯。
■回路に、起動抵抗追加を採用しました。
420KΩの抵抗がなかったので200KΩと220KΩで合計420kΩで接続します。
起動用の抵抗は、電源に並列に繋がることになるので常に電流が流れますが約40mW程度になります。
■スイッチング周波数について
オシロでスイッチング周波数を観測してみました。
10μSで約200kHzの周波数になっています。リップルノイズとスパイクノイズがわかりにくいんですが見えてきました。このオシロスコープではこの辺りが見える限界になります。
スイッチングによってトランスから電力が送り込まれてきますが、整流前なのでONOFFのスイッチングしてるなって波形がでています。これをダイオードによって整流してコンデンサで平滑してLCのフィルターを通って出力になります。
■動作確認後、組み立てます。
筐体がアルミなので放熱板代わりにダイオードとパワートランジスタを固定してます。
小さくてカワイイ電源です。
修理後、しばらく使っていますが異常もなく正常稼働中しています。
★LEDテープ
★抵抗など部品セット
以下、執筆中!2018/11
■スイッチング電源の動作メカニズム(回路図を起こしたので解説していきます。)